【起業物語5】僕が起業を決めた本当のきっかけ

起業ストーリー5
ずーみー
前回のあらすじ】会社をクビになり、助監督に復帰したずーみー。だが、以前ほどドラマの仕事に意義を見いだせなくなっていた。仕事ではなく、もっと家族と一緒の時間を大切にしたいと考えるようになったのだ。そんなある日、、、

夏のキャバクラで起きた事件

2015年8月。

その日は、低予算の深夜ドラマの仕事だった。僕はロケのためにある地方都市のキャバクラにいた。

汗をだらだら流して重い機材を搬入していると、うちわを仰ぎながら大きな声で談笑しているチンピラたちとすれ違った。いわゆる「ヤクザ」だ。ロケで借りたキャバクラを経営しているのが彼らだった。

一般的に、テレビ業界と裏社会が接点を持つのはご法度だ。しかし、予算がなさすぎたために、本物のヤクザが経営するキャバクラを借りるしかなかったのである。

さらに、予算が少ない影響で、「本物の方々」にエキストラとしてご出演していただくことになってしまった。つまり、そのキャバクラで働くリアルキャバ嬢の皆さんがキャバ嬢役で、リアルヤクザの皆さんが常連客役で協力してもらうことになったのだ。

不運にも、僕はエキストラ担当だった。本物のキャバ嬢やヤクザを配置につけたり、演技をお願いするのが僕の役割だ。怖い人たちは苦手だったが仕方ない。僕は恐る恐る彼らに演技をお願いした。幸い、彼らはテレビに出られることが嬉しかったようだ。とても上機嫌で協力してくれたので、僕はほっと胸をなでおろした。

ところが、ロケが進むにつれて、だんだん雲行きが怪しくなってきた。

18時までに撤収する約束だったのに、撮影が押し始めたのだ。このままでは営業開始時刻に間に合わない。時計を見てイライラし始めるヤクザたち。それを見て、ロケを早く終わらせようと焦るスタッフたち。

そんな時に事件は起きた。

あとワンシーンで撮影終了というところで、僕はヤクザのボスを怒らせてしまったのだ。

「テメエ、なめてんのか!!!」

現場の空気が一瞬にして凍りつくのが分かった。ヤクザのボスに胸ぐらをつかまれた僕は、店の外へと連れ出された。そして、雑居ビルの薄暗い階段で、数人のチンピラに囲まれ、激しく罵倒された。どうやら僕の言葉遣いが癇に障ったらしい。

「謝ってすむと思ってるのか!!!」
「今すぐ撮影やめろ!!!」

しかし、ここで撮影をやめるわけにはいかない。最後のシーンを撮影しきらないと、それまで築き上げたスタッフ達の努力が水の泡になってしまうからだ。

僕は必死に謝り続けた。生まれて初めて土下座もした。自分が土下座する間に、なんとか撮影終了することを願いながら。

誰かが僕を小突いたのをきっかけに、僕は階段を転げ落とされた。さらに、落ちた先で数人から蹴りを食らった。

「このまま死んだらどうしよう」
「こんなことで死んだら、家族はどう思うだろう」
「もっと子供と一緒に過ごせば良かった」

撮影終了までの数分間が、僕には永遠のように感じられた。

「・・・カット!!!」

ようやく最後のカットがかかったところで、物陰から見守っていたスタッフが助けに来てくれた。僕は命からがら雑居ビルを抜け出し、ロケバスの中に身を潜めた。

幸い、大した怪我はなかった。

 

* * * * *

 

家に帰ると、子供の夜泣きで疲れているはずの妻が、優しい笑顔で僕を待っていてくれた。その笑顔を見た僕は、とてもじゃないけど、事件のことを話せなかった。

「仕事でちょっと嫌なことがあったんだ」

元気のない夫を心配する妻に、僕はそう言った。

その夜、夫婦別々の部屋で寝ながら、僕は考えた。

人生の時間は有限だ。その貴重な時間を会社のためにすり減らし、命の危険まで冒すことに果たして意味はあるのだろうか?もう自分を犠牲にするのはやめよう。これからは自分と家族のためだけに生きよう・・・!!!

【第6回へと続く】

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映像制作ZOOMY VIDEO代表。テレビ制作会社をクビになったのをきっかけに、2年前にデジカメ1台で起業。当ブログでは、自分が起業で苦労・失敗した経験をもとに、知識0のサラリーマンが1年以内に月収50万以上稼ぐ起業家になる方法を発信中。