ジブリに入社したドワンゴ・川上量生に学ぶ一流経営者の時間の使い方とは?|『コンテンツの秘密』書評

コンテンツの秘密

ずーみーの評価:★★★★☆
読みやすさ:普通

 

『コンテンツの秘密』ってどんな本?

『コンテンツの秘密〜ぼくがジブリで考えたこと〜』は、ドワンゴ創業者の川上量生(かわかみのぶお)による「コンテンツ論」である。

なぜこの本を手に取ったかというと、単純にジブリ映画が好きなのと、ニコニコ動画を作った川上量生という人物に興味があったからだ。(実は、20代前半の頃、ニコ動のゲーム実況や踊ってみたを見るのにどハマりしていた過去がある。笑)

ここで、起業家・川上量生のプロフィールをご紹介しよう。

鈴木敏夫と川上量生

スタジオジブリの鈴木敏夫Pと川上量生 出典:アマゾン

1997年、29歳の時、川上は7年勤めたソフトウェア会社を脱サラして株式会社ドワンゴを立ち上げた。当初はオンラインゲーム専門会社として起業したが、成功のきっかけは着メロ事業への進出だった。雨後のタケノコのように着メロ会社ができる中、ドワンゴは「いろメロミックス」という着メロサイトで大成功をおさめた。

これは、川上が経営者6タイプでいうところのビジネスモデルタイプで成功したということだ。(みんなが真似しやすくて、雨後のタケノコのように類似商品が出てくるのがビジネスモデルタイプの特徴)

経営者6タイプ

経営者6タイプ理論によると、起業家は上図の隣り合ったタイプにしか一度に移動できない。では、ビジネスモデルタイプで起業した川上の場合はどうだったか?

「いろメロミックス」の成功でドワンゴは急成長し、2004年には東証一部上場を果たした。2006年からニコニコ動画事業を開始し、若者を中心に大ヒット。僕もお世話になった。

経営者6タイプ理論によると、ニコ動は典型的な課金ポイント1個タイプだ。よって、次は政治保護産業タイプに移動するんだろうなという予測がつく。

そして、2011年。スタジオジブリの鈴木敏夫と出会ったことがきっかけで、川上はドワンゴ会長のままスタジオジブリに入社。鈴木に弟子入りし、無給でプロデューサー見習いとなる(!)。

実は、僕はこの辺の事情を全く知らなかった。そんなことがあったとは・・・

先ほどの経営者6タイプの話に戻ると、テレビ・映画などの映像産業は電波などのインフラに関わるため、政治保護産業タイプに分類される。これにより、理論の正しさが証明された。

なお、経営者6タイプの詳しい解説は次の記事を読んでほしい。

起業家の未来を決定づける6つの性格とは?【経営者6タイプ】

2017.05.18

 

本書『コンテンツの秘密』では、川上が「スタジオジブリの巨匠たちから何を学んだのか」という実話が語られる。宮崎駿や鈴木敏夫、高畑勲、男鹿和雄、大塚伸治、庵野秀明、宮崎吾朗などそうそうたる面々による金言のオンパレードが本書のハイライトだ。

川上がジブリで見たこと聞いたことを割とそのまま書いているため、読んだ手触りはゴツゴツしている。生の素材にこだわる男の料理みたいな本だと思った。

僕は長く映像業界に身を置いているため、本書で描かれる彼らの悩みや目指すところがとてもよくわかった。表現に携わる人たちには是非オススメしたい一冊だ。逆に、クリエーターではない方々にとっては、少々難しい本に感じるかもしれない。

 

一流経営者の時間の使い方とは?

さて、本書の中で僕が一番刺激を受けたのは、実はコンテンツ論ではない。それよりも、川上量生の時間の使い方のほうが格段におもしろかった。

ドワンゴ会長のままスタジオジブリに入った川上がどんな生活をしていたのかについて書かれた場面をご紹介しよう。

ぼくは恵比寿のアパートの一室を借りました。鈴木さんの事務所である「れんが屋」のすぐ近くです。一応はぼくが経営していることになっているドワンゴに出社するのは毎週水曜日の一日だけ。あとは鈴木さんとずっといっしょの毎日です。

朝の九時に恵比寿のれんが屋前の駐車場から、鈴木さんのクルマに乗せてもらって東小金井に向かうところから一日が始まります。

片道一時間のあいだ、ずっと鈴木さんといろんな話をします。そしてスタジオジブリに着いたら、鈴木さんの打ち合わせのほとんどに同席させてもらって、よく分からないながらも、ぼくも話に加わります。

お昼は鈴木さんとプロデューサー室の同僚といっしょに食事に出かけ、ずっとそこでも話をし続けます。

(中略)

夕方の四時か五時ぐらいになると、鈴木さんは東小金井のスタジオを出て恵比寿のれんが屋に向かいます。

れんが屋でもたくさんの打ち合わせが鈴木さんを待っています。そのほとんどにぼくも同席して、食事して、夜はずっとみんなで映画の一本でも見るのです。日によっては二本ぐらい見ることもざらです。

そして、またおしゃべり。気づくと、もう夜中の二時くらい。そこで解散になって、ぼくは近くの恵比寿のアパートに戻って寝ます。

こんな生活が二年間ぐらいは続いたでしょうか。ぼくの人生のなかでも、不思議な夢を見ていたような特別な時期でした。

どうだろうか?これを読んで僕はかなり驚いた。

だって、ドワンゴの経営どこいった?って感じだからである。生活ぶりも、その辺のニートか大学生みたいだ。仮にも東証一部上場企業の会長なのに。。。

では、なぜ川上量生はこんなニートみたいな生活をしていたのか?

以前、別の記事でもお話ししたことがあるが、現代の起業家はサーファーだ。現代は商品ライフサイクルが3〜7年と非常に短いため、起業家は事業から事業へと次々に波乗りしていかなくてはならない。

つまり、川上がジブリに入社したのは、起業家として新しい事業に波乗りするためだったのだ。彼の場合は、着メロ事業→ニコニコ動画事業→映像制作事業というふうに波乗りしていると考えられる。

波乗りする起業家

A=着メロ、B=ニコ動、C=映像

そして、社長が新しいことを始めるためには、勉強時間が必要だ。川上はその時間を捻出するため、週に一回しかドワンゴに出社しないという大胆な行動に出た。それ以外の時間はずっと鈴木敏夫といっしょ。

実は、これはとても理にかなったやり方である。
あなたは「エッセンシャル思考」「モデリング」をご存知だろうか?

「エッセンシャル思考」とは、一番重要なこと以外を全部無視して一点集中型で結果を出す思考法である。川上は、「映画プロデューサーとしての成長」に全てを捧げたため、その成長スピードも速かった。成功した経営者にはこのエッセンシャル思考を身につけている人が非常に多い。

「モデリング」とは、自分の目標とする人物を定めて、その人の思考法や行動を全部コピーして、一気に成長するための強力な方法である。今回の場合は、鈴木敏夫プロデューサーがモデリングの対象だ。朝から晩まで一緒にいれば、鈴木敏夫の思考と行動を盗むのはたやすい。このモデリングという手法も、成功した経営者と呼ばれる人たちは身につけていることが多い。

要するに、川上量生は起業家として成功したノウハウを全部駆使して、全速力で次のステージに駆け上がろうとしたということだ。

僕自身はまだ起業して2年。自分の事業を大きくしていく途上だが、起業家として次のステージに移る段階になった時に、本書の川上の行動は非常に参考になると思った。

以上が、本書から僕が一番学びを得た部分である。

なお、「エッセンシャル思考」と「モデリング」については次の記事で詳しく解説している。どちらも起業家・経営者にとっての必須スキルなので、一流を目指す人は必ず身につけてほしい。

「しくじり先生」に学ぶエッセンシャル思考とは?

2017.06.22

早く人生で成功したい人必見!目標達成速度を20年→2時間に短縮する極意とは?

2017.05.26

ずーみーの評価:★★★★☆
読みやすさ:普通


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2 件のコメント

  • こんばんは。
    この記事を見て、ある意味ビックリしました。
    自分の子供がニコ動のファンで、たまたま先月末に開催されたニコ動町会議に参加し(自分はずっと日影でボーっと加藤さんの動画をデータを聞いてましたけど)、、鈴木敏夫さんと川上量生さんのトークを、ライブで聞いたからです。
    正直、ニコ動そのものには全く興味もなく、知識もなく、子供にねだられて仕方なく(笑)行ってきたのですが、貴重な経験ができました。

    で、記事の内容についてですけど、確かにエッセンシャル思考とモデリングですね。その間、きっと「システム化」をしていたのでしょうね。だからこそ、ボカロといった、独自のものを、「融合して」作り、システム化してビジネスとして発展させることができたのでしょうね。

    自分も、ようやくそういったことに少しは意識が向けられるようになりました(笑)

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