今回は、プロダクトライフサイクル(=製品ライフサイクル)という、とても面白い経営理論を紹介します。
あなたがプロダクトライフサイクル理論を理解すると、次のメリットがあります。
- 何か商品を作りたい人は、今からどんな商品を作ると売れやすいかが分かります。
- すでに商品を持っている人は、どうすればその商品が売れやすいかが分かります。
- 起業したい人は、どんな業界に参入すれば成功しやすいかや、これから参入する業界でどんなマーケティング戦略を練ればいいかが分かります。
- 就職・転職したい人は、衰退期ではない業界や会社を見分けられるようになります。
「プロダクトライフサイクル」という名前の響きはとっつきにくいですが、一度理解してしまえば簡単な理論なので、あなたもぜひマスターしてください。
- ブログ起業コンサルタント
- 会社をクビになり映像制作で起業
- オンラインブログスクールを運営
- ブログ収入:最高230万円/月
- ブログで起業する方法を発信中!
詳しい目次
プロダクトライフサイクル(=製品ライフサイクル)とは?
プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle)は、頭文字をとってPLCと呼ばれたり、製品ライフサイクル(商品ライフサイクル)と呼ばれたりする理論です。
「全てのビジネスモデル(商品・サービス)の一生には、決まったパターンがある」というのが、プロダクトライフサイクル理論の基本的な考え方です。
それを表しているのが、次の図です。
人間が「赤ちゃん⇒子供⇒大人⇒お年寄り」というふうに年をとって死んでいくように、ビジネスモデルも「導入期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期」という4段階の一生を歩みます。
ポイントは、商品が導入期・成長期・成熟期・衰退期のどの段階にあるかによって、売れ方が変わることです。
そのため、マーケティング担当者は、商品が今どの段階にあるかを見きわめ、段階ごとに適切なマーケティングを行うのが大事です。
このことを「プロダクトライフサイクルマネジメント(商品ライフサイクルマネジメント)」といいます。
さらに近年、プロダクトライフサイクルが短期化しているといわれており、自分の扱う商品がどの段階にあるかを見きわめ適切な戦略を選ぶことが、より重要になっています。
ここからは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の特徴を解説していきます!
導入期の特徴と商品例
導入期の商品は新しい商品なので、まだ誰にも知られていません。
そのため、市場で認知されるまでに、莫大なマーケティング費用がかかります。
さらに、商品開発上の失敗も多いので、開発費もかかります。
そのため、この時期に参入すると赤字になるケースが多いです。
導入期を季節にたとえると、冬から初春です。
導入期には、数多くの試行錯誤がありますが、ほとんどの商品は芽が出ずに消えていきます。
- 自動運転機能付き自動車
- 対話型ロボット
導入期のマーケティング戦略
導入期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つです。
- 商品の認知度を高める
- 市場の反応を確かめながら商品を改善する
認知度を高める方法としては、チラシやDM、インターネット広告、新聞折り込み、フリーペーパー広告など、マス広告ではないものがよく使われます。
また、市場のサンプリング調査をしたり、購入者にアンケートをとったりして、商品に対する反応を確かめながら改善に努めていきましょう。
成長期の特徴と商品例
成長期の始まりは、商品が一般的に認知され始めた時です。
成長期は、新規客を増やすのに最も適した時期です。
今まで獲得するのに苦労したお客が、向こうから行列を作るようになります。
広告への反応率も高く、2桁成長が2年連続して起こります。
ライバル企業やライバル商品が相次いで参入し、市場価格は下がり始めます。
商品に関する新しいノウハウがどんどん確立されるのも、この時期です。
季節でいえば、春から夏。
商売をやっていて、一番楽しい時期かもしれません。
- VRゲーム
- スマートテレビ
- ほったらかし調理家電
成長期のマーケティング戦略
成長期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つです。
- 新規客の開拓
- リピーター作り
新規客の開拓には、導入期よりも思い切って広告予算を投入しましょう。
たとえば、テレビCMや新聞広告などのマス広告を利用したり、電車の中吊り広告、駅の構内広告、看板広告、街頭ビジョンなどを使って、シェア確保を目指します。
また、既存顧客をリピーター化するために定期的にDMを送ったり、ファン化してもらう工夫をすることも大切です。
成熟期の特徴と商品例
成熟期の始まりは、市場の売上高がピークに達した時です。
成熟期では、売上がピークを迎え、徐々に下がり始めます。
急速に広告の反応率が悪くなり、ライバルとの価格競争も激しくなります。
季節でいえば、晩夏から秋。
残存利益を刈り取る「収穫の秋」という意識を持つことが大切です。
- パソコン
- スマートフォン
成熟期のマーケティング戦略
成熟期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つです。
- 製品寿命を伸ばす工夫をする
- 顧客維持のための積極的な割引
どちらも、できるだけ長く現状維持することが目的の戦略です。
製品寿命を伸ばす工夫としては、たとえば、トレンドに合わせてパッケージを変更したり、商品の新しい使い方を提案したりします。
また、既存顧客を維持するために、積極的に割引したり、クーポンを使った広告を行うのも効果的です。
衰退期の特徴と商品例
衰退期に入ると、商品で利益をあげることが、かなり難しくなります。
業界内部の淘汰が本格的に始まり、市場シェアの小さな会社や差別化できない会社は、撤退を余儀なくされます。
商品の新モデル発売間隔がどんどん短くなるのも特徴です。
季節でいえば冬です。
- DVDプレーヤー
- ガラケー
衰退期のマーケティング戦略
衰退期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つのどちらかです。
- コストをできるだけ抑えて存続させる
- 撤退して新商品に切り換える
衰退期の商品は、どんなに頑張っても利益はほとんど出ません。
そのため、次の商品への切り換えをどうするかが最大の課題になります。
企業は、次の商品を徐々に市場に認知させることで、「失敗により撤退した」というマイナスイメージを持たれないようにする工夫が必要です。
衰退期の計算方法とは?
ここで、プロダクトライフサイクル理論で一番大事な法則をお教えしましょう。
その法則とは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の長さが同じになることです。
それを図にすると、次のようになります。
この法則を使うと、ある商品の衰退期がいつから始まるかを、簡単に計算することができます。
衰退期を計算するためには、次の3つの年のうち2つの情報が必要です。
- その商品が初めて販売された年(=導入期の始まり)
- その商品が世間一般で認知され始めた年(=成長期の始まり)
- その商品の売上が最高を記録した年(=成熟期の始まり)
ここからは実例として、iPhoneとテレビ業界の衰退期を計算します。
iPhoneの衰退期を計算すると?
たとえば、iPhoneの衰退期について考えてみましょう。
iPhoneは販売開始が2007年、売り上げのピークは2015年でした。
このことから、各周期の長さは4年になります。
計算式:(2015ー2007)÷2=4
※「販売開始からピークまでの長さ」が「導入期+成長期」なので2で割る。
よって、衰退期は2019年~2023年と推定されます。
この図を作ったのは2017年です。
2017年の段階では、2023年にはiPhone12が出ているのではと予測しました。
実際の新モデル発売のスピードはもっと早く、2023年現在はiPhone14が最新版です。
商品の新モデル発売の間隔が短くなるのは、衰退期の特徴です。
以上のことから、iPhoneは現在すでに衰退期に入ったと考えるのが妥当でしょう。
テレビ業界の衰退期を計算すると?
次に、テレビ業界の衰退期を計算します。
プロダクトライフサイクル理論を使うと、ある業界が廃れる時期や、会社の倒産時期まで正確に予測することができます。
つまり、これから起業する人や、就職・転職する人は、参入する予定の業界(や会社)の衰退期を計算しておけば、間違った業界(や会社)に入って後悔するリスクがなくなります。
日本のテレビ放送は1953年に開始しました。
それ以来ずっと、CM広告費が売上の柱になっています。
つまり、CM広告費の推移を見れば、衰退期を予想できるということです。
それが、次のグラフです。
CM広告費は、2000年にピークの2兆793億円に達した後、減少に転じました。
放送開始が1953年なので、ライフサイクルは23.5年周期ということになります。
計算式:(2000ー1953)÷2=23.5
※「放送開始から売上ピークまでの長さ」が「導入期+成長期」なので2で割る。
つまり、現在のテレビ業界は成熟後期であり、2023年から本格的な衰退期に突入します。
実は、僕は2006年から2015年までテレビ業界で働いていたのですが、成熟後期というのは、僕がテレビマンとして体験した感覚と非常に近いものがあります。
僕がテレビ業界で働いた10年間は、業界全体で急速に人件費が削減された時期と重なっていました。
もし、僕があのままテレビ業界にしがみついていたら、人生で一番脂の乗った40代を、衰退産業の中で過ごすことになっていたでしょう。
そう考えるとちょっと怖いですね^^;
ちなみに、テレビの黄金時代は、1990年代だったといわれます。
プロダクトライフサイクル的にいうと、90年代は成長後期に当たります。
「月9」という新しいドラマジャンルや、斬新な映像表現手法がたくさん出て来たのは、成長期の特徴にピタリと当てはまります。
おもしろいですよね。
PLCを活用して適切な時期のビジネスに参入する方法
最後に、プロダクトライフサイクル理論を活用して、適切な時期のビジネスに参入する方法をお話しします。
一般的に、もっとも参入に適した時期は、成長期から成熟期にかけてだといわれています。
成長期はいちばん利益を出しやすい時期で、あまり広告費をかけなくても、ガンガン商品が売れていきます。
また、新規顧客を獲得しやすいので、リピート商品の場合は特に有利です。
成熟期はライバルが多いので値下げ競争は激しいですが、ノウハウが既に確立されているので、参入しやすい時期だといえます。
ただし、衰退期に備えて、次のビジネスモデルを準備しておくことを忘れずに。
逆に、参入に適していない時期は、導入期と衰退期です。
導入期には顧客がほとんど存在しないため、販売にとても苦労します。
商品開発で失敗するリスクも高いです。
資金に余裕のある大企業しか戦えない時期だといえるでしょう。
衰退期は、顧客は存在するものの、値下げ競争が激化した後なので、ほとんど利益を出せません。
他の商品で収益を上げられる大企業でなければ、戦っていけない時期です。
まとめ
今回は、プロダクトライフサイクルついて解説しました。
プロダクトライフサイクルを理解すると、ビジネスの成功率が上がります。
あなたもぜひマスターしてくださいね!
プロダクトライフサイクルは、
導入機、成長期、成熟期、衰退期、同じ年数でわけられる!
なんども、読み返して行きたいです。
プロダクトライフサイクル自体は習ったことがあったのですが、4つの時期が等分になるというのは初めて知りました。
色々当てはめてみたら面白そうですね。
起業する際には、成長期から成熟期の市場を狙っていきたいです。
ずーみーさん、こんばんは。
記事を読ませて頂きました。
プロダクトライフサイクルという概念は初めて知りましたが、4つそれぞれの周期が同じで、計測できるという事がすごく面白いなと思いました。
自分の働いている業界(アパレルスタッフ)は恐らく衰退期に近いんじゃないかと感じました。
コメント失礼します。
プロダクトライフサイクルは初めて聞きましたが、情報商材や本などで、「参入は遅すぎてもダメだが早すぎてもいけない。一般大衆に合わせる必要がある。(確かマーケットイン?)」とする記述を何度か目にしたことがあります。
自分が起業するとき、どんな業界に参入するか、一つの指標になりそうです。
ずーみーさん、こんばんは。プロダクトライフサイクルの理論、おもしろかったです。
私の人生にあてはめると、まだ導入期にも入っていない気がします。年齢だけは成熟期ですが…。
まずは、いろいろなものにプロダクトライフサイクルを当てはめる癖をつけたいと思います。
ありがとうございました。
ずーみーさん。こんばんは。
私が、iPhoneを買ったのは、成熟期に入ってからです。iPhoneに変わる物が何になるのか今から楽しみです。
今、働いてる業界は自動車業界です。(生産工場)これも成熟期です。下手すれば衰退期に片足が入っているかもしれません。(トヨタ自動車が危機感を持っている理由がハッキリわかった気がします)
今までピークが過ぎれば衰退していくと思っていましたが、導入期〜衰退期までのサイクルが同じだとは思っていませんでした。インターネットビジネスの世界は、まだ成長期という理解でよろしいですか?
導入期と成長期の変化を認識できると残りの3期に目が向きやすそう。
何を指標にするかがカギでしょうか。
ではインターネットはまだ成長期なのでしょうか。感覚的にはもう成熟期、でも人がインターネットに利用される(ネットサーフィンは使われてるイメージ…)から使いこなすようにもう変化し終わっているのか…。これからオフラインがなくなる時代と言われていますが、その中で自分の困りごとを解決する方法を、何で提供するか、思考が広がりそうで今ひとつ…もっと勉強しなければ…
プロダクトサイクルが、4期共同じ期間になるなんて不思議!
でも事例があり、ほんとに当てはまるんですね。
面白かったです。
色々当てはめてみようと思いました。
ばーさん、こんにちは!
コメントいただきありがとうございます^^
ご参考になったようでうれしいです。
ぜひ、この理論を使い倒してみてください!
はじめまして。
加藤さんの次世代セミナーを受けて、
最初はすごく難しそうと思っていましたが
だんだんとはまってしまい、
webテストも受けてみて、
点数上がったら(現段階で45点です。)
どうなるんだろうと
思いまして、ずーみーさんのブログまで
辿り着きました。
プロダクトサイクル理論の記事は
宮崎監督の引退予想とか色々応用されていて、
面白かったです。
個人的には、今携わっている介護業界だと
どのような予測が立つのか興味が湧いています。
Nambuさん、こんにちは!
コメントいただきありがとうございます^^
ご参考になったようでうれしいです。
介護ビジネスは、人口統計的に、売上のピークはまだ先になりそうですよね。
ぜひ、ご自身でも予測を立ててみてください!
はじめまして。
いつも楽しくブログ拝見させていただいています。
プロダクトサイクルのお話、とても興味深いと同時に、腑に落ちる理論だなと感じました。
私は4ヵ月程前にいわゆる「好きなことで稼ぐ」系ノウハウを購入してブログを開設したのですが、自分自身が作り出したブログに価値を見いだせなくなり、迷走していました。
この記事を読み、「好きなこと書くだけでは稼げない」ということの本当の意味が理解出来たと同時に、自分が進むべき道が見えてきたような気がします。
ありがとうございました。
佐藤さん、初めまして!
いつもブログを読んでいただきありがとうございます^^
ビジネスは相手があって成立するものなので、
「自分が好きなこと=相手が欲しいもの」
には必ずしもならないのが難しいところです。
僕も、最初は映像制作で起業しましたが、
「自分が好きなこと=相手が欲しいもの」になりづらかったので、
今はビジネスブログの収益をメインにしています。
佐藤さんも、試行錯誤していけばいつか必ずうまくいくはずです。
頑張ってください!!!