今回は、プロダクトライフサイクル(=製品ライフサイクル)という、とても面白い経営理論を紹介します。
あなたがプロダクトライフサイクル理論を理解すると、次のメリットがあります。
- 何か商品を作りたい人は、今からどんな商品を作ると売れやすいかが分かります。
- すでに商品を持っている人は、どうすればその商品が売れやすいかが分かります。
- 起業したい人は、どんな業界に参入すれば成功しやすいかや、これから参入する業界でどんなマーケティング戦略を練ればいいかが分かります。
- 就職・転職したい人は、衰退期ではない業界や会社を見分けられるようになります。
「プロダクトライフサイクル」という名前の響きはとっつきにくいですが、一度理解してしまえば簡単な理論なので、あなたもぜひマスターしてください。
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詳しい目次
プロダクトライフサイクル(=製品ライフサイクル)とは?
プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle)は、頭文字をとってPLCと呼ばれたり、製品ライフサイクル(商品ライフサイクル)と呼ばれたりする理論です。
「全てのビジネスモデル(商品・サービス)の一生には、決まったパターンがある」というのが、プロダクトライフサイクル理論の基本的な考え方です。
それを表しているのが、次の図です。
人間が「赤ちゃん⇒子供⇒大人⇒お年寄り」というふうに年をとって死んでいくように、ビジネスモデルも「導入期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期」という4段階の一生を歩みます。
ポイントは、商品が導入期・成長期・成熟期・衰退期のどの段階にあるかによって、売れ方が変わることです。
そのため、マーケティング担当者は、商品が今どの段階にあるかを見きわめ、段階ごとに適切なマーケティングを行うのが大事です。
このことを「プロダクトライフサイクルマネジメント(商品ライフサイクルマネジメント)」といいます。
さらに近年、プロダクトライフサイクルが短期化しているといわれており、自分の扱う商品がどの段階にあるかを見きわめ適切な戦略を選ぶことが、より重要になっています。
ここからは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の特徴を解説していきます!
導入期の特徴と商品例
導入期の商品は新しい商品なので、まだ誰にも知られていません。
そのため、市場で認知されるまでに、莫大なマーケティング費用がかかります。
さらに、商品開発上の失敗も多いので、開発費もかかります。
そのため、この時期に参入すると赤字になるケースが多いです。
導入期を季節にたとえると、冬から初春です。
導入期には、数多くの試行錯誤がありますが、ほとんどの商品は芽が出ずに消えていきます。
- 自動運転機能付き自動車
- 対話型ロボット
導入期のマーケティング戦略
導入期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つです。
- 商品の認知度を高める
- 市場の反応を確かめながら商品を改善する
認知度を高める方法としては、チラシやDM、インターネット広告、新聞折り込み、フリーペーパー広告など、マス広告ではないものがよく使われます。
また、市場のサンプリング調査をしたり、購入者にアンケートをとったりして、商品に対する反応を確かめながら改善に努めていきましょう。
成長期の特徴と商品例
成長期の始まりは、商品が一般的に認知され始めた時です。
成長期は、新規客を増やすのに最も適した時期です。
今まで獲得するのに苦労したお客が、向こうから行列を作るようになります。
広告への反応率も高く、2桁成長が2年連続して起こります。
ライバル企業やライバル商品が相次いで参入し、市場価格は下がり始めます。
商品に関する新しいノウハウがどんどん確立されるのも、この時期です。
季節でいえば、春から夏。
商売をやっていて、一番楽しい時期かもしれません。
- VRゲーム
- スマートテレビ
- ほったらかし調理家電
成長期のマーケティング戦略
成長期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つです。
- 新規客の開拓
- リピーター作り
新規客の開拓には、導入期よりも思い切って広告予算を投入しましょう。
たとえば、テレビCMや新聞広告などのマス広告を利用したり、電車の中吊り広告、駅の構内広告、看板広告、街頭ビジョンなどを使って、シェア確保を目指します。
また、既存顧客をリピーター化するために定期的にDMを送ったり、ファン化してもらう工夫をすることも大切です。
成熟期の特徴と商品例
成熟期の始まりは、市場の売上高がピークに達した時です。
成熟期では、売上がピークを迎え、徐々に下がり始めます。
急速に広告の反応率が悪くなり、ライバルとの価格競争も激しくなります。
季節でいえば、晩夏から秋。
残存利益を刈り取る「収穫の秋」という意識を持つことが大切です。
- パソコン
- スマートフォン
成熟期のマーケティング戦略
成熟期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つです。
- 製品寿命を伸ばす工夫をする
- 顧客維持のための積極的な割引
どちらも、できるだけ長く現状維持することが目的の戦略です。
製品寿命を伸ばす工夫としては、たとえば、トレンドに合わせてパッケージを変更したり、商品の新しい使い方を提案したりします。
また、既存顧客を維持するために、積極的に割引したり、クーポンを使った広告を行うのも効果的です。
衰退期の特徴と商品例
衰退期に入ると、商品で利益をあげることが、かなり難しくなります。
業界内部の淘汰が本格的に始まり、市場シェアの小さな会社や差別化できない会社は、撤退を余儀なくされます。
商品の新モデル発売間隔がどんどん短くなるのも特徴です。
季節でいえば冬です。
- DVDプレーヤー
- ガラケー
衰退期のマーケティング戦略
衰退期に取るべきマーケティング戦略は、次の2つのどちらかです。
- コストをできるだけ抑えて存続させる
- 撤退して新商品に切り換える
衰退期の商品は、どんなに頑張っても利益はほとんど出ません。
そのため、次の商品への切り換えをどうするかが最大の課題になります。
企業は、次の商品を徐々に市場に認知させることで、「失敗により撤退した」というマイナスイメージを持たれないようにする工夫が必要です。
衰退期の計算方法とは?
ここで、プロダクトライフサイクル理論で一番大事な法則をお教えしましょう。
その法則とは、導入期・成長期・成熟期・衰退期の長さが同じになることです。
それを図にすると、次のようになります。
この法則を使うと、ある商品の衰退期がいつから始まるかを、簡単に計算することができます。
衰退期を計算するためには、次の3つの年のうち2つの情報が必要です。
- その商品が初めて販売された年(=導入期の始まり)
- その商品が世間一般で認知され始めた年(=成長期の始まり)
- その商品の売上が最高を記録した年(=成熟期の始まり)
ここからは実例として、iPhoneとテレビ業界の衰退期を計算します。
iPhoneの衰退期を計算すると?
たとえば、iPhoneの衰退期について考えてみましょう。
iPhoneは販売開始が2007年、売り上げのピークは2015年でした。
このことから、各周期の長さは4年になります。
計算式:(2015ー2007)÷2=4
※「販売開始からピークまでの長さ」が「導入期+成長期」なので2で割る。
よって、衰退期は2019年~2023年と推定されます。
この図を作ったのは2017年です。
2017年の段階では、2023年にはiPhone12が出ているのではと予測しました。
実際の新モデル発売のスピードはもっと早く、2023年現在はiPhone14が最新版です。
商品の新モデル発売の間隔が短くなるのは、衰退期の特徴です。
以上のことから、iPhoneは現在すでに衰退期に入ったと考えるのが妥当でしょう。
テレビ業界の衰退期を計算すると?
次に、テレビ業界の衰退期を計算します。
プロダクトライフサイクル理論を使うと、ある業界が廃れる時期や、会社の倒産時期まで正確に予測することができます。
つまり、これから起業する人や、就職・転職する人は、参入する予定の業界(や会社)の衰退期を計算しておけば、間違った業界(や会社)に入って後悔するリスクがなくなります。
日本のテレビ放送は1953年に開始しました。
それ以来ずっと、CM広告費が売上の柱になっています。
つまり、CM広告費の推移を見れば、衰退期を予想できるということです。
それが、次のグラフです。
CM広告費は、2000年にピークの2兆793億円に達した後、減少に転じました。
放送開始が1953年なので、ライフサイクルは23.5年周期ということになります。
計算式:(2000ー1953)÷2=23.5
※「放送開始から売上ピークまでの長さ」が「導入期+成長期」なので2で割る。
つまり、現在のテレビ業界は成熟後期であり、2023年から本格的な衰退期に突入します。
実は、僕は2006年から2015年までテレビ業界で働いていたのですが、成熟後期というのは、僕がテレビマンとして体験した感覚と非常に近いものがあります。
僕がテレビ業界で働いた10年間は、業界全体で急速に人件費が削減された時期と重なっていました。
もし、僕があのままテレビ業界にしがみついていたら、人生で一番脂の乗った40代を、衰退産業の中で過ごすことになっていたでしょう。
そう考えるとちょっと怖いですね^^;
ちなみに、テレビの黄金時代は、1990年代だったといわれます。
プロダクトライフサイクル的にいうと、90年代は成長後期に当たります。
「月9」という新しいドラマジャンルや、斬新な映像表現手法がたくさん出て来たのは、成長期の特徴にピタリと当てはまります。
おもしろいですよね。
PLCを活用して適切な時期のビジネスに参入する方法
最後に、プロダクトライフサイクル理論を活用して、適切な時期のビジネスに参入する方法をお話しします。
一般的に、もっとも参入に適した時期は、成長期から成熟期にかけてだといわれています。
成長期はいちばん利益を出しやすい時期で、あまり広告費をかけなくても、ガンガン商品が売れていきます。
また、新規顧客を獲得しやすいので、リピート商品の場合は特に有利です。
成熟期はライバルが多いので値下げ競争は激しいですが、ノウハウが既に確立されているので、参入しやすい時期だといえます。
ただし、衰退期に備えて、次のビジネスモデルを準備しておくことを忘れずに。
逆に、参入に適していない時期は、導入期と衰退期です。
導入期には顧客がほとんど存在しないため、販売にとても苦労します。
商品開発で失敗するリスクも高いです。
資金に余裕のある大企業しか戦えない時期だといえるでしょう。
衰退期は、顧客は存在するものの、値下げ競争が激化した後なので、ほとんど利益を出せません。
他の商品で収益を上げられる大企業でなければ、戦っていけない時期です。
まとめ
今回は、プロダクトライフサイクルついて解説しました。
プロダクトライフサイクルを理解すると、ビジネスの成功率が上がります。
あなたもぜひマスターしてくださいね!
今日も面白いお話、ありがとうございました。
人間にもヒューマンサイクルがあるかも、と感じました。
私は高齢者ですが、導入期と成熟期がとても長かったので、今は衰退期に入っていますが、まだ、新商品を短期でどんどん出していけばいいかなと・・・(笑)
加藤さんの5部作テスト、一回目35点でしたが、次の日摸試を繰り返し完璧にやって、再挑戦し65点採れました。ずーみーさんの真似をして、お風呂と眠りに落ちるまでの時間は頭の中で一人授業をやっています。これからも続けます。よろしくお願いします。
コメント失礼いたします^^
アウトプットが苦手なので、コメントを書くことで練習をさせてくださいm(_ _)m
今回の記事もとてもわかりやすかったです。
「確かに、全ての(サービスを含めた)商品は、同じ周期を辿っているよね!当たり前の道すじだよね!」
と思うくらい明確なことですが、
なかなか自力では気づけない(見抜けない)視点だな、
と思いながら拝読させていただきました。
現在、加藤さんの次世代起業家育成セミナーを受講中です。
今後、何らかの形で起業したいと考えておりますが、
上記のことを忘れず、間違った時期に参入しないよう、十分に気をつけたいと思います!
また、おかげさまでウェブ試験を1発合格できました!!
メルマガのプレゼント①と②の動画を見て、1日半勉強し、
「とりあえず、試しに受けてみるか〜。模擬検定のPDFもらってから、ちゃんと勉強しよーっと」
と軽い気持ちで(しかし真剣に)試験を受けてみた結果、55点でした!
まさか、受かるとは思っていなかったので、自分でもびっくりです!!
が、どの問題が正解だったのか、半分くらいしかわかっていないくらいの理解力なので、
引き続き、次世代起業家育成セミナーの動画内容と、
ずーみーさんが配信してくださるメルマガの内容で、
知識を増やしつつ、一流の起業家の「思考の流れ」をコピーさせていただきたいと思います!
今後も、楽しみにしています!引き続き、どうぞよろしくお願いします^^
ずーみーさん、こんにちは!
「プロダクトライフサイクル」とても分かりやすかったです。
僕は、iPhoneはiPhone4Sから買ったので、ちょうど成長期だったのですね。
衰退期に入っているのは、理屈ではなく肌で感じていました。
でも、キチンと理論があることに、改めて感心しました。
ありがとうございます。
とても面白くて興味深い内容です。
計算するとどこで衰退するのかがわかってしまうなんて。
マーケティングをしているので参考にさせていただきます。
このグラフの正しいみかたを初めてしりました
同じ長さなのですね!
ずーみー様
初めまして祝乃と申します。
加藤さんのセミナーの試験を受けましたが
ボロボロすぎて(><)
藁をも掴むつもりでこちらへお邪魔致しました。
ブログの文章が優しくて読みやすく
難しい事を分かりやすく説明して下さるのは
さすがです!
本当にありがとうございます!!!
プロダクトサイクル。とても勉強になりました。
実際、家族に映像関係の仕事の者がおり
テレビ業界はまさに斜陽、、、
オールドメディアではない所が活況で
混沌としているようです。
私自身は算命学という占いのブログを始めた所です。
根本的な起業の知識と行動力を身につけて
生き残りたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます( ᵕᴗᵕ )
ず~み~さん
プロダクトサイクルのご説明をありがとうございます。
あまり、気にしてなくて実は私は自動車製造業界で働いています。
二年のサイクルが当たり前に過ぎては立ち上がり、終りを迎えるとパーツで15年売れれば何十年少量がうれる。
製造される工程は迷惑ですね。
しかし、世界中のどこかで必要とあらば製造する世界です。
ベジタリアンの車の革部分は、何十年後でも合皮にしたり、いろいろな生産を見てきて当たり前で生活をしていました。
が、改めて考えてみると自動車製造業とは別の世界にこのような考え方もあるのだなぁと思いました。
メルマガをマイペースに読んで少しづつですが、勉強をしていきますね。
ありがとうございます。感謝します。
ご活躍をお祈りしていますよ。
ず~み~さまへ
20200514 18;44 杉本今日子より
・私は最初から衰退期の終期に達した会社に入社したのだと思います。どんな手段を用いても売上の減少が続き、赤字になり倒産しました。2度目に入社した会社も同じく売上の減少が続き、希望退職に応じた形式で解雇されました。その数年後にこの会社も倒産しました。
・当時は組織に属する関係者全員の努力が不足している状態で、さらに世界的な不況や自然災害の発生等があり、不運だったと考えていました。
・しかしビジネスモデルには、導入期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期という4つの周期があり衰退期の最後に消滅することを理解しました。時間の流れのなかで「予想された事」が起こっただけでした。関係者の努力不足や外部の影響は直接の原因ではないと思います。
・これ以上苦労したくないので、自分がどの段階で行動するのか確認しなければなりません。ずーみー様のページをみても答えを見つけられません。考え続けます。
こんばんは。
今次世代セミナーを何度も聞きなおしてるところです。
試験は2度受けまして結果はどちらも30点(;’∀’)でしたが、7回チャレンジのうちには必ず合格しようと思います。
プロダクトライフサイクルについて、とても分かりやすく理解できました。
私自身、以前勤めた会社では業界の成長期から衰退期まで経験したのでなるほどと言った感じでした。
当時は衰退期ということは肌で感じながらも、なんとかしないと!と一生懸命でしたが、無駄な努力だったと気付きました。
私自身は半年ほど前からプロぐアフィリエイトに挑戦していますが、記事を書いているうちに自分のブログの方向性やターゲットがブレてしまったことで全く記事が書けなくなってしまい、どうしたものかと迷走しているところに、次世代セミナーをの存在を知り内容の面白さにはまっています。
至らぬことを考えて作業がストップしてしまうのは、徹底的なマインドの強化が出来ていないからだと気付き、今は思考を鍛えるつもりで学んでます。
ずーみーさんのブログは、今後も活用させていただこうと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
●プロダクトライフサイクル
商品・サービスの決まったパターン
4つの長さは同じ
いつダメになるかわかる
把握しました。ありがとうございました。