【起業物語5】僕が起業を決めた本当のきっかけ

起業ストーリー5

(※この記事は2017年11月28日に更新されました) 

前回のあらすじ
会社をクビになり、生活のため助監督に復帰したずーみー。

だが、以前ほどドラマの仕事に意義を見いだせなくなっていた。

仕事ではなく、もっと家族と一緒の時間を大切にしたいと考えるようになったのだ。

そんなある日・・・

【起業物語4】「もっと子供に会いたい!」会社をクビになって感じた違和感

2017.06.02

 

夏のキャバクラで起きた事件

2015年8月。

その日は、低予算の深夜ドラマの仕事だった。

僕はロケのためにある地方都市のキャバクラにいた。

汗をだらだら流して重い機材を搬入していると、うちわを仰ぎながら大声で談笑しているチンピラたちとすれ違った。

いわゆる「ヤクザ」だ。

ロケ地として借りたキャバクラを経営しているのが彼らだった。

 

一般的に、テレビ業界と裏社会が接点を持つのはご法度だ。

しかし、長らく続く視聴率低下のせいで、ドラマの予算は削られる一方だった。

そのため、本物のヤクザが経営するキャバクラを安く借りるしかなかったのだ。

さらに、その深夜ドラマには、エキストラに1人2000円払う体力すらなかったため、なんと「本物の方々」にエキストラとしてご出演していただくことになってしまった。

つまり、ロケ地のキャバクラで働くリアルキャバ嬢の皆さんにはキャバ嬢役で、リアルヤクザの皆さんには常連客役で協力してもらうことになったのだ。

そして、不運にも、エキストラ担当は僕だった。

本物のキャバ嬢やヤクザを配置につけたり、演技をお願いしたりするのが僕の役割だ。

正直、彼らと関わりたくなんてなかったがしょうがない。

撮影がはじまり、僕は恐る恐るヤクザのみなさんに演技をお願いした。

幸い、彼らはテレビに出られることが嬉しかったようだ。

とても上機嫌で協力してくれたので、僕はほっと胸をなでおろした。

 

ところが。

ロケが進むにつれて、だんだん雲行きが怪しくなってきた。

18時までに撤収して店を明け渡す約束だったのに、撮影の進行が押し始めたのだ。

このままでは営業開始時刻に間に合わない!

時計を見てイライラし始めるヤクザたち。

それを見て、ロケを早く終わらせようと焦るスタッフたち。

 

そんな時、事件は起きた。

あとワンシーンで撮影終了というところで、僕はヤクザのボスを怒らせてしまったのだ。

「テメエ、なめてんのか!!!」

現場の空気が一瞬にして凍りつくのが分かった。

ヤクザのボスに胸ぐらをつかまれた僕は、店の外へと連れ出された。

そして、雑居ビルの薄暗い階段で、数人のチンピラたちに囲まれ、激しく罵倒された。

どうやら僕の言葉遣いが気に入らなかったらしい。

「謝ってすむと思ってるのか!!!」

「今すぐ撮影やめろ!!!」

しかし、ここで撮影をやめるわけにはいかない。

最後のシーンを撮影し終わらないと、それまでスタッフたちや俳優たちが築きあげてきた努力が水の泡になってしまうからだ。

僕は必死に謝り続けた。

生まれて初めて土下座もした。

自分が土下座する間に、なんとか撮影終了することを願いながら。

 

誰かが僕を小突いたのをきっかけに、僕は階段を転げ落とされた。

さらに、落ちた先で数人から蹴りを食らった。

「このまま死んだらどうしよう」

「こんなことで死んだら、家族はどう思うだろう」

「もっと子供と一緒に過ごせば良かった」

撮影終了までの数分間が、僕には永遠のように感じられた。

 

「・・・カット!!!」

ようやく最後のカットがかかったところで、物陰から見守っていたスタッフが助けに来てくれた。

僕は命からがら雑居ビルを抜け出し、ロケバスの中に身を潜めた。

幸い、大した怪我はなかった。

 

* * * * *

 

家に帰ると、子供の夜泣きで疲れているはずの妻が、優しい笑顔で僕を待っていてくれた。

その笑顔を見た僕は、とてもじゃないけれど、その日起きたことを話せなかった。

「仕事でちょっと嫌なことがあったんだ」

元気のない夫を心配する妻に、僕はそう言った。

 

その夜、夫婦別々の部屋で寝ながら、僕は考えた。

人生の時間は有限だ。

その貴重な時間を会社のためにすり減らし、命の危険まで冒すことに意味はあるのだろうか?

もう自分を犠牲にするのはやめよう。

これからは自分と家族のためだけに生きよう・・・!!!

 

この日の出来事が、僕が起業を決めた本当のきっかけだった。

 

【第6回へと続く】


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