開業届とは、あなたが個人事業主やフリーランスとして開業するときに、国に必ず提出しないといけない書類です。
この記事では、個人事業主やフリーランス向けに、次の4つを解説します。
- 開業届の書き方
- 開業届を提出する5つのメリット
- 開業届を提出すべきタイミング
- 開業届を提出する時の注意点
なお、起業するときに提出する書類は、開業届だけではありません。
その他の書類についても知りたい人は、次の記事もあわせてご確認ください。
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詳しい目次
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)とは?
開業届とは、あなたが個人事業主やフリーランスとして開業するときに、国に必ず提出しないといけない書類です。
何のために提出するかというと、「開業しました」と国に知らせるためだけでなく、「これから個人事業主として国税(所得税や消費税など)を納税します」と国に宣誓するためです。
開業届は、開業した日から1ヶ月以内に、納税地の税務署に提出します。
なお、提出が遅れても法的な罰則はありません。
開業届を提出する5つのメリット
あなたが開業届を提出すると、次の5つのメリットがあります。
- 青色申告して最大65万円を節税できる
- 家族に払った給料を経費にして節税できる
- 赤字を最長3年繰り越して節税できる
- 屋号で銀行口座が作れる
- 補助金(助成金)や融資の申し込みができる
①:青色申告して最大65万円を節税できる
開業届を提出すると、確定申告で青色申告ができるようになります。
青色申告をすると、最大で65万円の控除を受けることができ、その分を節税できます。
なお、青色申告をするためには、所得税の青色申告承認申請書を提出します。
所得税の青色申告承認申請書の書き方は、次の記事で解説しています。
②:家族に払った給料を経費にして節税できる
開業届を提出して青色申告をすると、家族を従業員として雇っている人は、家族に払った給料を経費にして節税できます。
たとえば我が家の場合、奥さんを経理担当にして毎月8万円の給与を支払い、年間96万円を経費にしています。
なお、家族に支払った給料を経費にするためには、青色専従者給与に関する届出書を提出します。
青色専従者給与に関する届出書の書き方は、次の記事で解説しています。
③:赤字を最長3年繰り越して節税できる
開業届を提出して青色申告をすると、赤字を最長3年繰り越すことができます。
繰り越した赤字は、翌年以降の黒字から差し引くことができ、その分を節税できます。
開業届を提出すると、さまざまな節税対策ができます。
節税したい人は必ず開業届を提出しましょう!
④:屋号で銀行口座が作れる
開業届を提出すると、屋号で銀行口座を作れるようになります。
個人名義の銀行口座で仕事をすると、取引先から軽く見られたり信頼性を損なったりしますが、屋号名義の銀行口座ならそういう心配がありません。
⑤:補助金(助成金)や融資の申し込みができる
開業届を提出すると、補助金(助成金)や融資の申し込みができるようになります。
たとえば、物販系の事業では仕入れ資金が必要ですが、小規模事業者持続化補助金(最大50万円)をもらえたり、日本政策金融公庫や銀行から数百万円単位の融資を受けたりできます。
また、コロナ関係の補助金をもらうためにも、開業届の提出が必要です。
開業届の用紙は国税庁のサイトでダウンロードしよう!
開業届の用紙は、国税庁のサイトでダウンロードできます。
以下のリンク先ページの中段で、最新版の用紙をダウンロードして記入してください。
CHECK!
開業届の用紙は、税務署でもらうこともできますよ。
開業届の記入例
開業届の記入例は以下です。
開業届の書き方
ここからは、開業届の書き方を13ステップで解説します。
手順1:税務署名と提出日を記入する
開業届を提出する「税務署名」と「提出日」を記入します。※2024年は令和6年(=R6年)
開業届は、納税地を所管する税務署に提出します。
納税地とは、通常は住所地(=実際に生活している場所のこと)を指します。
以下のページで、あなたの納税地を所管する税務署を調べることができますよ。
手順2:納税地を記入する
納税地を選択し、「住所」と「電話番号」を記入します。
納税地は、通常は自宅の住所になるので、「住所地」を選びます。
手順3:氏名と生年月日を記入する
「氏名」と「生年月日」を記入し、捺印します。
手順4:マイナンバーを記入する
12桁の「マイナンバー(個人番号)」を記入します。
手順5:職業と屋号を記入する
「職業」と「屋号」を記入します。
なお、屋号は空欄でも問題ありません。
手順6:届出の区分を選ぶ
届出の区分の「開業」の文字を丸で囲みます。
手順7:所得の種類を選ぶ
所得の種類の「事業所得」の文字を丸で囲みます。
手順8:開業日を記入する
「開業日」を記入します。
手順9:開業に伴う届出書の提出の有無を選ぶ
青色申告をしたい場合は「有」を丸で囲み、青色申告承認申請書も一緒に提出します。
さらに、消費税に関する届出の有無を記入します。
ほとんどの人は「無」を選択すればOKですが、「有」を選択して「課税事業者選択届出書」を提出した方が節税になる場合がまれにあります。
たとえば、輸出業者として国内で仕入れを行ない、海外へ販売する場合は、課税事業者になった方が節税になります。
手順10:事業の概要を記入する
事業内容について、「何を・誰に・どこで・どうやって」販売するサービスなのか、できるだけ具体的に記入します。
⇒ 参考:アフィリエイト・せどりで「事業の概要」の書き方は?
手順11:給与等の支払の状況を記入する
青色事業専従者を雇う場合は「専従者」の欄に、そのほかの従業員を雇う場合は「使用人」の欄に、人数や給与の支払方法、源泉所得税の発生の有無を記入します。
青色事業専従者給与に関する届出書を提出すると、家族を「青色事業専従者」という従業員扱いにでき、家族に支払った給料分を経費として節税できます。
手順12:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無を選ぶ
源泉所得税の納期の特例を希望する場合には「有」を丸で囲み、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出します。
あなたが青色事業専従者やアルバイトなどの従業員に給料を払うと、源泉所得税を国に毎月納める義務が発生します。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出すると、源泉所得税の納付を年2回にでき、手続きの労力を減らせます。
手順13:給与支払いを開始する年月日を記入する
従業員に給与の支払を開始する日(1回目の給与支払日)を記入して完成です!
職業欄の書き方は?(例:アフィリエイト・せどり)
職業欄は、他人から見て何の職業かわかれば、何を書いても構いません。
たとえば、アフィリエイトやせどりの職業は、次のように記載します。
- アフィリエイトの場合:インターネット広告業、広告仲介業など
- せどりの場合:物品販売業
また、複数の職業を持っている人は、一番収入の多い職業を書きましょう。
ただし、「フリーランス」は雇用形態の一種であり職業ではないので、職業として書くことはできないので注意してください。
自分の職業名が思いつかない人は、次のページで適当なものを探しましょう。
CHECK!
アフィリエイト・せどりで「事業の概要」の書き方は?
アフィリエイトやせどりの事業の概要は、たとえば次のように記載します。
- アフィリエイトの場合:ウェブサイトの運営・管理、インターネット広告の紹介
- せどりの場合:中古家電のインターネット販売
開業届の提出方法
開業届の提出期限や提出先、提出方法は以下のとおりです。
- 提出期限:事業開始等の事実があった日(事業開始日)から1ヶ月以内です。
※ただし、提出が遅れても法的な罰則はありません。 - 提出先:納税地(通常は住所地)を所轄する税務署に提出してください。
- 提出方法:記入した届出書を直接持参、もしくは郵送してください。なお、e-Taxを利用してインターネットで提出することも可能です。
開業届の提出時に、必ず「控え」を持っていこう!
開業届を提出する時は、控えとしてコピーを1枚持っていき、受領印をもらってください。
なぜなら、屋号で銀行口座を開設する際に、証明書類として控えの提出を求められることがあるからです。
なお、開業届を郵送で提出する場合は、控えを1枚同封し、「受領印をください」とのメモ書きと返信用封筒&切手(84円)を入れておけば返信してくれます。
開業届を提出すべきタイミング
開業届を提出すべきタイミングとしては、次の3つが一般的です。
- 事業を開始したタイミング
- 収益が発生し始めたタイミング
- 年間収益が20万円以上になり確定申告が必要になったタイミング
「開業届を出した方がテンションが上がってビジネスを頑張れそう!」という人は、事業を開始したタイミングで提出するのがおすすめです。
ミーハーな僕はこのパターンでした。笑
一方、副業の場合(特にアフィリエイト)は、収益化までに時間がかかるケースがあります。
実際に収益が発生し始めてから開業届を提出しても遅くありませんので、「まだ出してない!」という人はご安心ください。(提出が遅れても法的な罰則はありません)
それから、3つ目の「年間収益が20万円以上になり確定申告が必要になったタイミング」というのは、節税のためにも開業届を出した方がお得ですので、ぜひ覚えておいてください。
【注目!】開業届を出しても無駄になるケースとは?
最後に注意喚起です!
あなたがせっかく準備を整えて開業届を提出しても、無駄になってしまうケースがあります。
そのケースとは、「開業しても売上が立たなかった時」です。
せっかくビジネスを始めても、商品が売れず赤字が続いたら廃業するしかありません。
個人事業主やフリーランスの約90%は10年以内に廃業すると言われますが、実は、開業したのにまったく商品やサービスが売れず廃業する人がとても大勢います。
かくいう僕も、2015年に起業した時、セールスやマーケティングの勉強を1ミリもせずに、見切り発車で開業届を提出しました。
そして、その後の数ヶ月間を、ほとんど収入0で過ごす羽目になってしまいました。
なぜなら、僕が自信満々で発売したサービスが、ものの見事に売れなかったからです。
あなたは今、セールスやマーケティングの勉強をしていますか?
もししていないなら要注意です。
次の記事で、起業初心者向けの勉強方法を詳しく解説したので、起業で失敗したくない人はぜひ読んでみてください。
ずーみーさん、こんにちは!
僕は、すでに開業届は提出済みですが、その後の「節税対策」や「補助金(助成金)や融資の申し込み」に関しては、知りませんでした。
今後役立てます。ありがとうございます。